フリーランスの中には、自宅兼事務所で在宅フリーランスとして活躍されている方も多いでしょう。自宅でお仕事をされる際には、かかった費用の一部を「家事按分」として経費計上できるのをご存じでしょうか?
ここでは、フリーランスがぜひ知っておきたい「家事按分」についてご紹介します。フリーランスとしてどのようなものが経費として認められるのか、さっそくチェックしてみましょう。
フリーランスの節税に大きく関わる「家事按分」とは?
在宅フリーランスとして自宅で働く場合、「生活に使うお金(生活費)」「仕事に使うお金(事業費)」の2つが混在しています。しかし自宅をフリーランスの仕事場として使っているのならば、かかった費用の一部は「事業に必要なお金=経費」として認められるのです。
この“かかった費用のうち、事業に使った分だけ経費として分けること”を「家事按分」と言います。
家事按分をする際は「按分比率」を決める必要があります。分かりやすく言えば、「どれだけの割合を事業用に使ったか」を決めるということです。
按分比率はフリーランス自身で決められますが、費用のうち「何%が事業の売上に影響したか」を考慮し、具体的根拠を持って決める必要があります。
フリーランスが家事按分できる経費項目は?
フリーランスが家事按分をできる経費項目には、次のような種類があります。
住んでいる家の家賃
賃貸住宅に住んでいるフリーランスの場合、月々の家賃を家事按分することができます。
<家事按分の考え方>
- 住宅全体の面積(㎡)に対し、フリーランス事業で使用中の面積(㎡)の割合(%)を考える。
- ひと月の家賃×事業割合(%)=経費計上ができる額となる。
<例>
家賃10万円、90㎡の3LDKマンションのうち、6畳の1部屋をフリーランスの仕事場として使っている場合。
6畳=約10㎡となり、家事按分は10/90=0.111。パーセントに直すと「約11%」となります。
つまりこの場合、10万円×11%=1.1万円が経費として計上できるというわけです。
住宅ローンの金利、マンションの管理費・共益費
フリーランスの自宅が持ち家や分譲マンションなどの場合は、以下の費用を事業割合に応じて家事按分できます。
- 建物の減価償却費
- 住宅ローンの「金利」 ※元本部分は対象外
- 固定資産税
- マンションの管理費、共益費
「建物の減価償却」とは、経年で固定資産の価値が目減りしていく分を、月々の費用として計上することを指します。
なお、持ち家でフリーランスが家事按分をする場合は、仕事に使う面積を抑え、事業割合が10%以下になるようにすると節税効果が高くなります。持ち家の場合、事業割合が10%であれば住宅ローン控除が全額受けられ、節税につながるからです。
この場合は①家事按分で経費計上ができ、②かつ住宅ローン控除が受けられる「ダブル節税」になり、結果的に得をします。
通信費(インターネット料金、スマホ料金)
在宅フリーランスとなれば、インターネットは欠かせないものですよね。自宅で仕事をする場合、仕事に使った分のインターネット料金、スマートフォン料金も家事按分が可能です。
家事按分をする際には「使用日数・時間」「データ利用を」もとに、事業割合を決定します。
電気代
自宅でPCやタブレット・スマホを使用するフリーランスは、電気代も家事按分の対象になります。
作業時間や日数、コンセントの数に応じた割合が事業経費としてカウント可能です。
ガス、水道費
「フリーランスの料理講師として自宅で教室を開いている」「フードコーディネーターとして自宅で仕事用の料理の試作をしている」などの場合は、ガス代や水道料金も家事按分の対象となります。
ただし、プログラマーやWebライターなど、直接関係のないフリーランス業をしている場合は対象外となるケースがほとんどです。
自動車関連の費用(仕事に車を使用している場合)
フリーランスとして営業等をする際に車を利用している場合は、自家用車に関する費用も家事按分が可能です。
家事按分する際は、事業に使用する「走行距離数」または「日数」で割合を判断します。
駐車場の利用費やガソリン代については、ひと月にかかった料金×事業を行う日数の割合(%)で家事按分をします。
<家事按分できる範囲>
- 自家用車の購入費用(固定資産として減価償却)
- 自動車税
- 車検費用
- 駐車場の利用費
- ガソリン代
フリーランスが家事按分する際の注意点
在宅で働くフリーランスは、家賃や通信費、光熱費などさまざまな費用を家事按分し、経費として計上が可能です。ただしフリーランスが家事按分する場合は、「合理的」かつ「客観的」な理由が必要です。
家事按分の事業割合については基準をあらかじめ決めておき、税務調査が入った場合にきちんと説明できるよう準備しておきましょう。
また、家事按分で経費計上できるからといって“実際には仕事で使用していない部分”まで計上しようとするのは好ましくない行為です。仮にあらゆる費用を高い割合で家事按分していたとしても、税務調査で調査官がNOと判断すれば、追徴課税が課せられてしまうおそれもあります。
フリーランスが家事按分をする際は、まず「業務に直接関わる費用なのか」「業務に必要なものか」を判断しましょう。そのうえで、「どのくらいの割合で業務に使用しているか」を決めることが大切です。
理由が明確であれば家事按分は可能! 賢く節税しよう!
フリーランスは会社員に比べると税率も高く、収入が増えるほど税金で出ていくお金も多くなります。長くフリーランスとして活躍するためにも、家事按分を活用し、節税に努めましょう。
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