結婚し家庭を持ちながらフリーランスとして活躍する方は年々増加しています。しかし中には「産休・育休が取れるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、フリーランスには会社員のような産休・育休制度はありません。ただしその代わり、さまざまな育児支援が受けられます。
ここではフリーランスに産休・育休がない理由や、フリーランスが受けられる支援などをご紹介します。
フリーランスに産休・育休がないのはなぜ?
そもそも「産休」「育休」とは、どのような制度なのでしょうか。産休・育休について改めておさらいしましょう。
産休とは?
出産予定日6週間前から請求が可能な「産前休業」、出産翌日から8週間の「産後休暇」を合わせた総称。産休のうち産前休暇は請求が必要。産休中は社会保険料の支払いを免除される。出産したときには健康保険組合から42万円の「出産一時金」が支給される。
育休とは?
産休後、子どもが1歳(最大2年まで延長可)になるまで取得できる休業制度。
雇用保険の被保険者期間が1年以上あり、雇用を継続する意思のある場合は「育児休業給付金」が支給される。
月給の67%(育休初月~6カ月目まで)~50%(育休6カ月目以降)の給付金が受け取り可能。なお、育休中も産休中と同じく、社会保険料が免除となる。
このように産休・育休や育児休業給付金は、雇用保険に加入していることが利用条件となります。しかし事業主であるフリーランスは「労働者」ではないため、雇用保険の適用外です。つまりフリーランスには、そもそも産休・育休という制度がないのです。
フリーランスは産休・育休を取れないため、すぐ復帰する人も多い
女性フリーランスの中には、出産直前まで働いてから産後すぐに復帰する方も少なくありません。これはフリーランスに産休・育休がなく、育児休業給付金が受け取れないことも大きく関係しています。
もともとフリーランスは自分で仕事の量を調節しやすい働き方であり、産休・育休として休みの期間を設けること自体は可能です。しかしフリーランスの場合、産休や育休の経済的支援はありません。フリーランスは働かないと収入がゼロになってしまいます。そのため、会社員であれば産休・育休を取っている期間も働き、収入を得ようとするのです。
フリーランスの産休・育休にあたる出産育児支援制度は少しずつ整備されてきています。しかし、やはり会社員の産休・育休に比べると、支援が手薄いのが現状です。にもかかわらず支払いは働いているときと変わらないので、産休・育休で体を休めなければいけないところを、「早く復帰しなくては」と焦ってしまうケースが多数見られます。
産休・育休のないフリーランスが受けられる育児支援制度は?
産休・育休のないフリーランスですが、国民健康保険に加入している場合は次の出産・育児支援制度が利用できます。産休・育休がない分、これらを有効活用しましょう。
国民健康保険による出産一時金
国民健康保険に加入しているフリーランスは、国から出産一時金の支給を受けることができます。出産一時金は病院で手続きをすると国からその病院へ直接支払われる仕組みです。出産は保険適用外のため入院費が高額になります。経済負担を軽くするためにも、忘れずに手続きをしておきましょう。
産前産後の国民年金保険料免除
フリーランスが使える制度のひとつに、産前産後の保険料免除という制度もあります。これは会社員の産休と同じく、出産予定月の前月から数えて4カ月間、国民年金保険料の納付を免除してくれるというものです。
仮に6月出産予定のフリーランスが申請をした場合、5・6・7・8月分の国民年金保険料の支払いが免除されます。(双子以上の多胎妊娠の場合は6カ月間の免除となります。)
フリーランスが国民年金保険料免除の届け出をするには、住民票のある自治体窓口で直接手続きをするか、郵送で手続きを行います。申請には母子手帳のコピーと、所定の届け出用紙が必要です。
出産予定日6カ月前から手続きができるため、あらかじめ届け出をしておくとよいでしょう。
妊婦検診費の助成制度
フリーランスが受けられる支援には妊婦検診費の助成もあります。
各自治体では保険の適用外となる妊婦検診の負担を軽減すべく、妊婦検診費の一部の助成を行っています。助成額は自治体によっても異なりますが、全国的な平均額は10万円程度です。
児童手当
生後まもなくから中学校を卒業するまでの間、毎月児童手当を受け取ることができます。手当の支給額は0~3歳未満が月15,000円、それ以降は月10,000円となります。受け取りには申請が必要ですが、所得制限があるため注意しましょう。
フリーランスは子どもを保育所に入所させにくい?
フリーランスは産休・育休がないため、産後すぐに復帰をしたいと考える方も多いでしょう。しかし、「認可保育所に入りにくい」という話を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。
事実、フリーランスは会社員に比べると「働いていてかつ家庭での保育に欠けること」を客観的に証明するのが難しい傾向にあります。
子どもを認可保育所に入れられるかは、各自治体が設定した「点数」に左右されます。判断基準は自治体によりさまざまですが、入所させるには「仕事で家庭保育が困難なこと」を証明し、点数を上げる必要があります。点数が高いほど保育の必要性が高いと判断され、保育所へ入所しやすくなるからです。
フリーランスが保育所へ申請をする際には、申請書に加え、以下の添付書類を準備しましょう。
- フリーランスの活動が確認できる書類(就労状況申告書、前年度の青色申告決算書や収支内訳書の写しなど)
- 事業内容が確認できるもの(直近1カ月分の収支明細など)
- 事業内容を証明するもの(制作物や名刺・Webサイトを印刷したものなど)
なお、保育園には認可保育所のほか、認可外保育所もあります。こちらは認可保育所に比べると入所の競争率が高くないケースも多いため、合わせてチェックしておくと安心です。
産休・育休のないフリーランスこそ事前準備が重要
「事業主」となるフリーランスには産休・育休がありません。そのため会社員のような産休・育休の制度も利用できませんが、国や自治体の支援制度は利用可能です。産休・育休の代わりに使える制度を今いちどチェックしておき、最大限に活用してみてくださいね。
また、産後すぐにご自宅でお仕事をされる場合は、バーチャルオフィスを活用すると良いでしょう。レゾナンスのバーチャルオフィスは、ご自宅住所の代わりに都内一等地の住所がご利用いただけるサービスです。
「家族もいるし、自宅住所がバレていたずらや嫌がらせをされたら怖い」というフリーランスの方も、バーチャルオフィスを利用すればご家族を守ることができます。
在宅フリーランスとして安心して仕事を続けたい方は、ぜひレゾナンスまでお気軽にご相談ください。